バーベキューとドイツ人

ドイツ人にとて、バーベキューは夏の風物詩とも言えるイベントです。大抵どこの家庭もバーベキュー用グリルを持っており、夏になると裏庭で家族や友達とワイワイと集まってバーベキューを楽しみます。もちろんビール片手に (^_-)-☆ 日本で言う鍋パーティでしょうか。バーベキューは単においしいステーキを味わうだけではなく、人と人を繋ぐ社会的な意味を持ちます。またドイツの夏は気温が低くて天候が変わりやすいため(日本の秋の空模様に似ている)、バーベキューは太陽が降り注ぐ暖かい日を象徴するイベントでもあります。この為、バーベキューはドイツ人が待ち望む楽しいイベントの1つです。

当社CEOのシャデは大のバーベキュー好き!彼は鍋奉行ならぬバーベキュー番長で、このプロジェクトはiPhone上でバーベキューしたい!と言う彼の純粋な熱意から始まりました。でも夢を実現するのは簡単ではなく、いくつもの険しい道を乗り越えなければなりませんでした。ここにいくつかエピソードをご紹介します。

シンプルなアイデア

初期のアイデアはシンプルで「iPhone上でバーベキューのシミュレーションができるアップを作る」というだけでした。でもCEOと制作チームは試行錯誤を繰り返し、このシンプルな案に新たな機能を次々と取り込んでいきました。ついに出来上がったアップは各工程で真の特長を捉え、リアルな体感を提供できるものに仕上がっています。ユーザーはあたかもグリルの目の前に立っているかのような体感ができます。3D(立体映像効果)やその他の映像効果は一切使わず、実写映像を駆使した純粋でシンプルなグリルをiPhoneとiPadの画面上で実現しています。


世界初のシミュレーションソフトウェア

正直言って、このプロジェクトのために肉を何キロ使ったか計り知れません(もちろん撮影後に食べました!)。

まず始めにCEOと美術監督は10タイプの肉の切り身を用意して撮影を開始しました。正確には、撮影を開始しようとしました、、、。

「夏」と聞くと蒸し暑い夏を想像しますが、ドイツの夏は寒く曇り空が続くため、写真撮影にうってつけのからりと晴れた日を何日も何日も待たなければいけませんでした。

現実の実現

リアルなバーベキューの作業を実現するため、CEOは妥協を許しませんでした。例えば、現実のバーベキューでは1つの具をお皿に上げたとしても、まだ網の上に乗っている他の具は焼かれ続けています。アップをこの様な現実のプロセスに近づけるため、時にはふりだしに戻って設計をし直す事もありました。

設計チームは、効率よく設計をするために以下のようなメモや図や絵コンテを作ってフロー(設計の流れ)を設定しました。さて、設計の修正は何度行われたでしょう?我が開発チームは実に434回ものバージョンアップを行ってアップを完成させました!

詳細設計

ユーザーに最高のリアリティを提供するため、iPhoneとiPad自身が持つハードウェアの特長とソフトウェアを上手く融合して実現しました。例えば、本アップではユーザーがiPhoneを傾ける事によって炭をグリル機に流し込む事ができるのですが、これはiPhone自身が持つ運動センサーが傾きを感知し、ソフトウェアはそのデータを使用してディスプレイ上で炭の動きを実現しています。また、マッチで火を点ける行為やテーブルクロスを変更する行為はスワイプ機能を使っており、肉をひっくり返すにはダブルタップと行った具合に、ソフトとハードを上手く結合させて作成しました。残念ながら、嗅覚を刺激する機能はまだありませんが、ジュージューと音を立てて焼けていくクリアな音も実現しています!

アイコン設定

iPhoneユーザーにとって気になるのはアップのアイコンですよね。アイコンはそのソフトが持つ機能を象徴するようなものでなければいけません。当社はiPhone用アップだけではなく、すべてのマック用ソフトを制作する際アイコンデザインには特に注意を払います。バーベキューアップの場合、デバイス上で具を焼くという行為そのものを象徴するようなアイコンを選択しました。採用に至までの過程は以下です。どうです?美術チームの苦労の様子が伺えますね〜。

スクラム、それは最高のアップを作るミソ!

equinuxの開発チームは、ソフトウェアの素早い開発手法として知られる「スクラム」を採用し企画、制作、開発を行いました。スクラム手法とはラグビーの戦略から由来しており、監督の指示に従ってプレイヤーが各自の役割をこなす構造をソフト開発に応用したものです。チームのメンバーはプロダクトオーナー(総責任者、このプロジェクトではCEO)とアップの特長をどうやって実現するか十分に議論し、問題を解決するために個々のスクラムメンバーへ課題が割り当てられました。

問題解決の過程でもし新しいアイデアを思い付いたら、まずは試してみて、ダメなら不採用とするかまたはそのアイデアを改良する。妥協せずに納得がいくまで繰り返して行いました。

 
旨さの追求

バーベキューアップはただ高度なプログラムを組むと言うだけではなく、暖かみのある雰囲気を演出しています。無機質なディスプレイ上にユーザーが思いを込めて焼き上げた"暖かくて旨い肉”を表現する事に労力を惜しみませんでした。この為、料理家のフランク・ヘプナー氏を我が社に招いて具を焼いていただきました。彼は料理学校を経営する素晴らしいシェフで、料理本を出版するにあたり自分の料理の写真を撮影したキャリアもあります。equinux創業以来のおいしいプロジェクトになりました (^○^)

さて、この旨そうな画像をどうソフトウェアを使ってどう表現するかは当社の腕の見せ所です。例えば、片面をしばらく焼いた肉をひっくり返すと、その時点までに焼けた焦げ目が見えるはずですし、もう片方の面は最初に焼いた面よりも早く焼き上がるはずです。時々刻々と変化しながら焼き上がっていく具の過程をアップに取り込む為、ステーキの表面だけではなく裏面の写真も何枚も撮影しプログラムを組みました。何時間もかけてステーキを準備し、料理し、撮影する、この過程を何度も繰り返したのです。撮影には専門家写真家のフェリックス・ホルツァー氏にご協力いただいています。

ハッセルブラッド社のHシステムのカメラを使い、RAWフ形式で撮影した写真は約100メガバイトにも上りました。結果、これらの画像は当社の160ギガバイトのハードディスクを占領することとなり、すべての画像をチェックしてアップ用の画像として編集するのに10日も要したのです。

このアップはソフトウェアの枠を越えてユーザーの感覚に暖かく働きかけ、iPhone用アップの基準を上げる事となると信じています。このリアリティをあなたのiPhoneまたはiPad上でご自身の目で体感してみてください。

数字あれこれ

制作の過程において、30kgの炭と500ユーロ(約56800円)分の肉を使用しました。Tボーンステーキをせっかく料理しても、炭になるまで焼き続けなければならなかったシェフの涙をご想像ください (ToT) 制作チームも辛いのです。でもこの作業がアップとなって実る事を望んでがんばりました。

「夏」と聞くと蒸し暑い夏を想像しますがドイツの夏は寒く曇り空が続くため、制作チームは丸二日間室内での焼き肉作業を余儀なくされました。ご想像の通り、すべての窓を開けても臭いと煙が本社ビル内に立ち込めてしまいました。写真編集には10日を要し、焼き肉の臭いが消滅するには2週間かかりました。制作にはウェーバー社の丸形グリル1台、大きな室外用のスチール製グリル1台、中型グリル1台、合計3台のグリル機をフル稼働させて室内で使用しました。これらのグリル機の上に数えきれないほどの網を乗せ、納得がいくまで撮影を行いました。

よ〜く聞いてみよう!

映画やテレビの世界では、音響効果が観客を笑わせたり泣かせたり怖がらせたりします。これと同じように、本アップでも音響効果は欠かせません。ジュージューと焼ける肉、パチパチと燃える炭、メラメラと燃える炎。2次元の肉の写真をあたかも3次元の立体的な具が焼けているかのようなアニメーションとして表現するのにも労力を惜しみませんでした。

サウンドデザイナーのフィリップ・セリアー氏をお迎えしました。セリアー氏はアカデミー外国語映画賞を受賞したドイツの映画「Das Leben der Anderen(邦題:善き人のためのソナタ)」で音響を担当された方です。彼はスタジオにバーベキューをセットし、ジュージュー焼ける音や炭が弾ける音、ハラハラメラメラ燃える音を高品質で収録しました。仕上げに、屋外にいるかのような小鳥のさえずりやグリル横でギターを引いているかのような環境音も作成しました。制作されたオーディオはiPhoneとiPadの高機能スピーカー用にオプティマイズされています。ヘッドフォンで聞くともっともっとクリアに聞こえますよ!

高度なグラフィック

iPhone 3GSとiPhone 4は高い解像度のグラフィックとレンダリングを搭載してるので、これらをふんだんに使用する事が最大の難関でした。バーベキューは炭や網や肉を編集するためアルファチャンネル(業務用に用意されている色以外のデータを保存する領域)や層を使用しました。生から丸焦げになるまでの過程の為に、12段階を設定して微妙な色の変化で焦げ具合を表現しています。

iPhone 3GS以前のiPhoneとiPod touchのグラフィックスチップ(画面の色をコントロールするICチップ)は3GSのそれと比べるとさほど高性能ではありません。にもかかわらず、当社の開発チームはすべてのiPhoneシリーズとiPod touchにも対応すべくそれぞれの機種に合わせて色の変化を調節しました。

もっともっと詳細に!

試作品をテストしてみると、分厚くて重いステーキをひっくり返す時の描写が薄くて軽いホットケーキをひっくり返しているかのような印象を与える事が分かりました。この為、ステーキの物理的な動きのアルゴリズムを解析し、何度も調整して「本物」を表現しています。

また、ステーキは通常片面を長く焼いたら、その後もう一方の面は短い時間で焼けるので、焦げ目が付く時間が違うという点も重要でした。開発チームは生から丸焦げになるまでにどれだけの「焦げ」の段階を用意したら良いかも検討し、最終的に10から12段階の焦げ具合をテストしました。

盛りつけに一工夫 (^_-)-☆

最後に、ユーザーの「食べたい!」と言う感覚を刺激する為に盛りつけの食器やテーブルクロスにも一工夫こらしました。バーベキューアップならニトリやイケアに行かなくても何種類もの色や柄から好みのテーブルクロスを選べますよ〜 (^○^)

ちなみに、ドイツの各州はそれぞれの州旗を持っているんですが、ミュンヘンのあるバイエルン州の州旗は青と白が交差する独特のチェック柄です。このアップにはバイエルン州の州旗のデザインのテーブルクロスも含めたのでお試しください!他にもモダンデザインやチェック柄などを取り揃えましたので、ヒューっと言うスワイプ音を鳴らしながらお好みのデザインを見つけてください (^_-)-☆





バーベキューの中心地はequinux!

当社が生み出したこれらの力作を試しながら、あなたの焼き具合の腕もお試しください!ドイツ・ミュンヘンとカリフォルニア州サウスサンフランシスコにあるequinuxの開発チームは、現在別のおもしろ〜いアップの開発に大忙しです!

メイキング・オブ・バーベキューをお楽しみいただけましたか?機能の裏に隠された試行錯誤を思い浮かべながら、バーベキューアップを存分に味わって下さい。